<227>努力と競争遺伝子の作用
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 07/8/12(日) 20:43:18  返信も含め全削除

1.生物が生きるための湧き出るエネルギー
 生物が生きるためには強力なエネルギーが必要である。このエネルギーの根源になっているものが、DNAに組み込まれた遺伝子の設計図である。この基本的な設計図の構造図は、競争に負けないように努力するように設計されている。この遺伝子をここでは「競争遺伝子」と称する。生物はこの競争遺伝子の設計図に従って、自分の生命が持続するように行動するのである。したがって生命危機の局面に遭遇すれば、その局面を勝ち抜くための闘争心まで書き込まれている。個体が終末を向かえれば、種の継承が行われる仕組みも詳細に設計されている。人間のように頭脳を高度に進化した生物に対しては、死に対する恐怖まで仕組まれており、生命危機が迫るときの恐怖は危機予知としても機能している。植物にも同様に作用する場合があり、果実を付けなくなったさくらんぼの幹に、少し傷をつけてやると自分の生命維持が危機にさらされていると勘違いし、あわてて子孫である果実をつけて種の継承をする現象も種の保全として設計されたものである。

2.個体の優位性を主張する競争遺伝子のエネルギー
 生命体としての個体を持続させるために、競争遺伝子の設計図は常に個体の優位性を確保するように設計されている。この優位性を発揮するために争いが起きるのである。種の違う生命体の間で争いが起こる場合は、同種の仲間は団結して敵に立ち向かう行動をとる。この団結の勝ち抜くための競争遺伝子の作用である。団結した内部だけを見れば平和そのものである。したがって平和も競争遺伝子の作用しているのである。人類が人間以外の生物が脅威であった時代は、人間同士が団結したが、人類が生物界の頂点に立つと人間同士の争いが激しくなったのである。まず部族間の争いが始まり、次に民族間の争いや宗教間の争が始まり、国の争いという戦争まで拡大してしまった。人間の個体に組み込まれた競争遺伝子の闘争心のパワーは一定であるとすれば、人間が地球上で爆発的に増加しているのであるから、競争遺伝子のパワーの総和は強大化し、地球上で臨界点に達しているかもしれない。

3.競争遺伝子の作用を理解することが重要
 東西冷戦の時代は、東側の旧共産圏と西側の自由主義圏の二大対立構造であった。この二大対立構造の時代は、東西冷戦という極めて分かりやすい喧嘩の相手が鮮明に存在していた。この時代の東側の内部構造や西側の内部構造は安定しており、それぞれの内部は大きな紛争は無かったのである。それが東西冷戦の終結と共に、人類の競争遺伝子のパワーが世界中に飛び散ってしまった。その結果、地域紛争として世界各地に小競り合いとなって現れた。この世界に分散した争いである内戦や小競り合いの総和は、世界大戦時の争いの総和と等しいと考えるべきである。戦争が収まり平和になると競争遺伝子は、個人間の争いに飛び火する結果となってしまった。これがいじめであり、職場のいじめや学校のいじめ、子供の虐待、動物虐待等、いじめ現象が激しくなってきた。競争遺伝子の作用による努力は、視点を変えれば、努力自体が相手に大きなダメージを与える結果となってしまう場合が多い。人類はこのいじめとして作用する競争遺伝子を未だ解明していないのである。

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