新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 07/12/2(日) 19:41:42
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1.能力主義に馴染みが悪い日本人
長く続いた日本の終身雇用を前提にした年功制度に代わって、個人の能力をその時代の相場で売買する能力主義が徐々に進行してきた。しかし日本人には馴染みが悪いようである。日本人は仲間の和を重視することを好む民族であり、日本の高度経済成長も和を基調とした日本的経営で成功したのである。この点が諸外国の高度経済成長と大きく相違して入る点である。当時の日本は年齢型給与体系のままで、平均的に給料を上げるベースアップ方式であり、年功型をベースにして高度経済成長を成し遂げたのである。そのため当時の日本人の80%が中流意識を持つようになった。日本人はこの時代の所得格差の少ない成功が、頭から離れないのである。しかし、近年の世界中で起きている高度経済成長の国々では、能力主義を基調にした経済成長であり、構造的に日本の高度経済成長とは大きく相違しているのである。
2.能力格差とセクハラやいじめ現象
能力主義とは、個人の能力という商品を、労働市場で能力の相場によって売買することであるから、労働の市場経済型と言うことになる。そのため能力がある人は高給取りになるし、能力の低い人は低所得者ということになってしまう。これは市場経済であるから、良し悪しを別にすれば、市場原理として当然な現象である。この点から見れば日本は完全に市場経済型の能力主義になってきた。以前のよう形式的な学歴社会がようやく終わりを告げ、大学を形式的に4年間在籍しただけでは、その能力は認められない。本物の勉強をして本物の能力をつけない限り、社会は評価しない時代に入ってきた。能力主義時代の当然の現象である。然るに、能力があっても派遣社員の賃金が低い面や、セクハラ等のいじめに遭うような現象は、能力主義への過渡期の現象であろう。むしろ形式的立場の優位性に頼り切った立場の人間が危ういことを認識すべきである。
3.所得格差・地域格差の課題
市場経済型の競争社会の課題は、所得格差や地域格差が生じてしまうことである。全国各地で起きている地域格差の問題は、限界集落が発生し始めている。限界集落とは、人間が住むことができない環境になった地域を指しているのであり、大きな社会問題である。市場経済を前提とした能力主義は、この格差社会を避けることができない大きな欠陥を抱えている。これは政治的に解決する方法しかないのである。
4.企業の人事管理難しさとセクハラ
能力主義時代の人事管理は難しい。年功型時代は、能力に関する評価のウエイトは低いため、それほどの判定の難しい問題は無かったが、能力の判定が直接所得と連動している能力主義型賃金体系は、非常に厄介な面がある。人間の判断や行動にはどうしても情緒的な面があり、神様でない限り能力を公正公平に評定することは難しい。近年、企業内が殺伐としてきたという意見も多く聞こえてくるし、いらいらしている人が増え、セクハラ、いじめ、精神病等の増加は、能力主義の欠陥が現れてきたものであろう。
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