<244>日本の労働市場の変化とセクハラ
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 07/12/16(日) 12:32:46  返信も含め全削除

1.世界の労働市場に引きずられる日本の労働市場
 日本的経営は、決して悪いものばかりではなく、世界に誇れる良いところは沢山ある。近年、欧米型能力主義と対比させて各種の論議がされている。欧米型の労働市場は、労働の市場経済型人事評価で、日本人には馴染みが悪いという評論がある。しかし、日本の現実の労働市場はかなりの勢いで、労働の市場経済化の移行に進んでおり、決して過去型の終身雇用制度を前提とした年齢序列型に逆戻りする気配はない。むしろ、自由主義経済の原則である仕組みが労働市場にも強く作用し、自由労働市場へと移行が進んでいる。自由労働市場では、労働の流動性が作用するため、終身雇用制の正社員族の雇用体制は減少する一方で、アルバイト、パートタイマー、派遣社員、契約社員等の正社員以外の雇用形態の労働市場が拡大し、近年の日本の労働市場では、正社員以外の雇用形態の人材が50%を越えたようである。この傾向は増加の方向にあり、政府や労働関係省の労働施策に反し、増加傾向は止まらず、世界の動向と同じ傾向で推移している。

2.日本的経営の大転換期
 グローバル化した世界の労働市場は、国別に特色があった労働文化を融合化させ、地球レベルの労働市場が一体化した状況下で動き出した。そのため、日本独自の雇用体制にも乱れが生じながら、地球レベルの労働市場に融合せざるを得ない状態で推移している。この中にあって日本の経営者の中には、精神的な側面では儒教の精神や、日本の労働文化として発展した日本的経営の思想の重要性を説き、それなりに成功を収めている企業も存在している。これは良いことであり、日本人ばかりでなく、その他の国や多くの民族の方々にも受け入れられる仕組みへとして発展して欲しいものである。しかし、注意しなければならないことは、日本的経営として成功している企業は、もはや過去の日本的経営とは思想が違うものであり、現代の地球レベルで通用する新しい人事思想が混入しており、決して過去の日本的経営時代の労働思想とは同じものではないことを注意しなければならない。

3.雇用体制変化の中でいじめやセクハラ行為
 旧日本的経営の特色の一つに、同じ釜の飯を食った仲間という団結思想があった。この思想は内向きに団結するものとして強く作用する思想で、外部集団に対抗するものとして大きな成果を上げてきた。日本的経営が成功した当時の社会環境では通用したが、今日の激しい市場経済の競走環境では、同じ釜の飯を食った仲間という程度の団結思想だけでは、グローバル化した地球規模の世界市場の中では、通用しなくなってきた。市場が激しい競争環境になると新しい労働思想による新しい能力が必要になってきたし、生ぬるい精神訓話的な労働思想では通用することが難しくなってきたことは事実である。このような労働環境激変期には、社員の精神状態は必ずしも安定しているわけではなく、ストレスが蓄積されている人も多く、精神的に不安定な状況が続いている。この精神不安定期だからこそ、いじめやセクハラが起きていることも否めないのである。労働環境が一段落し、新しい労働環境が安定するまでの過渡期に起こる現象として、十分に注意しなければならない。

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