<259>日本人の情緒とドライな市場論理
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/4/6(日) 17:44:11  返信も含め全削除

1.外国人が見た日本人の均一性
 日本人は、外国人からみると独特な均一化した文化をもった民族に見えるようである。我々日本人同士の間でみれば、多様化して見えており、昔から10人十色と言われ、10人いれば10人とも性格や行動が違うと言われてきたものである。しかし外国人から見れば真に均一的であるという。では均一的な特色とはどのようなものであろうか。ビジネス文化の面で検討してみれば、近年始まったM&A(企業の合併買収)に焦点を合わせてみると、日本人の特色が浮き彫りになる。このM&Aの際に起きる日本人特有の行動があり、日本人の文化の特色が現れるようである。

2.日本人の企業所属意識
 日本人の企業所属意識には、日本独特の所属意識の文化が根強く残っている。日本的経営の特色である年功制による終身雇用制も、日本的企業所属意識に深く関係している。企業の所属意識は、外国とは比較することができないほど強い意識が存在するのである。終身雇用制は、働けるうちは一生企業から離れないという制度であるから、これほど日本人の企業所属意識を表した制度はない。近年の日本の若者は、年配者と比較すれば、企業の所属意識が薄れてきたが、外国の若者と比較すれば企業の所属意識は強く継承されている。

3.企業合併や買収時に現れる企業の所属意識
 近年、日本の産業界にも合併や買収が多く見られるようになってきた。企業が他の企業を買収する場合に、買収される企業の従業員の意見に、俺たち従業員込みで、会社を商品のように売り跳ばした。このようなことをする旧経営者は許せない。といきり立つ従業員の声がよく聞かれる。日本企業の合併や買収は、大企業から中小企業まで従業員は、ほとんど前述の違憲で反対する者が多く、日本社会の特色ともなっている。日本人は、ドライに収入を得る場という意識ではなく、自分の生活とも一体化し、所属する企業集団の仲間意識が非常に強い特色を持っている。この点で日本的経営は力を発揮する面は利点である。企業に所属する仲間意識が結束して外敵に立ち向かう有様は、軍隊の組織による戦闘体制にも似ており、この集団による攻撃力は決して悪いものではない。しかし集団の結束力を高めるためには、能力主義に馴染まない面があり、近年の能力主義時代に、古い団結主義が強すぎて、世界のビジネス文化の流れに逆行している結果となっている。世界の市場経済は、能力主義をベースにした競争社会であり、日本だけが例外として通用する時代ではない点を留意すべきである。

4.敵対的買収に対する考え方
 近年、日本の産業界で敵対的買収という現象が起きているが、この現象ほど日本人が誤解しているものはない。欧米で始まった敵対的買収とは、証券市場でドライに買収宣言してから、買収する行動をとる手法をいうのであって、日本人が考える情緒的な殴り込みの喧嘩の宣言ではないのである。正々堂々と市場論理で買収することを広言する手法を言うのである。これは通常のビジネス行為の問題であって、日本人が考える情緒的なものとは少し違うのである。日本人も少し冷静にドライな考え方や行動が必要になってきた。

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