<260>中国問題と日本の食糧の課題
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/4/27(日) 18:33:40  返信も含め全削除

1.中国の特色と日本の環境
 中国から帰国しあらためて中国問題を整理することにした。中国政府の依頼で、中国東北地方の黒龍江省佳木斯(ジャムス)市において、市場経済化の研修等を担当してきた。研修内容は、「グローバル化社会における市場経済化の戦略」であり、講演と個別企業へのアドバイスであった。この仕事は中国政府からの依頼で20年間にわたり続けてきたがものであるが、この20年間の中国の発展は凄まじい勢いであった。中国は人口が13億人であり多民族による巨大国家である。その大きさのあまり地域格差等の未解決の問題が山積である。中国は、この20年間に高度経済成長を遂げ、経済先進国の仲間入りした地域もあれば、未だに発展途上国の地域もあり双方が同居している国である。しかし資源大国であり、その将来性は有望な国であることは間違いない。これに対して日本は中国の正反対の環境であり対照的である。日本は島国の環境下で単一化した民族であり、資源も乏しく人口は中国の10分の1である。

2.日中関係の現状と課題
 隣国の大国である中国で今何が起きているか。日本は無関心ではいられない。昔はアメリカがくしゃみをすれば、日本は風邪を引くと言われた時代があったが、近年の日中関係はそれ以上に深い関係にあり、今後の日中関係は更に深まるに違いない。今回の餃子農薬混入事件は、悲しい事件であり、日本の食品問題に大きなショックを与えた。同時に日本の食糧事情の貧困さを改めて確認せざるを得ない事件であった。日本の食糧自給率は39%であるから、61%も海外からの輸入に頼りきっている。これは寒気がするほど恐ろしい話である。海外との摩擦や社会環境が変われば、日本人は直ちに餓死する環境下にあることを、あらためて認識させられた事件であった。戦後(第二次大戦後)の悲惨な食料事情を思い出すと本当に身が凍る想いがする。二度と経験したくはない情況である。しかし食料の数量的自給率は当時より悪化していることを忘れてはならない。

3.日本の食料問題の課題
 日本の食糧問題は、より真剣に検討すべき時期に来ていることは間違いない。北海道は食料基地であると言われるが、日本の県別食糧自給率は、北海道が200%であり、次いで宮崎県が109%である。自給率100%を超えているのはこの2県であり、北海道にしてもこの程度の食糧の生産量では、食料基地など主張すべきではない。たしかに土地は広い(日本の約4分の1)し、農産物と水産物は敵地であることは確かである。しかし、200%なる自給率はそれほど期待されるものではない。何故なら人口(日本の5弱)が少ないために自給率が高くなるだけで、日本全体の10%しか対応できないことを示しているのである。北海道は比較的自然が残され、良質な食料を生産することに適していることは間違いない。また近年の温暖化の影響もあって、南で生産されていた作物が北海道で栽培されるようになってきたし、農薬も少なめで済むため農業としては敵地である。しかし本格的な食料基地としての研究を更に真剣に進めるべきである。

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