<2>建設業の決め手は施工管理
新規投稿者 高津徹太郎  投稿日 5/5(月) 15:05:54  返信も含め全削除
1.現状の施工管理
 建設業法上の施工とは施工管理(安全・品質[ISO]・原価・工程の四大管理)をすることである。また、建設会社の売り物は技術力であり技術力は施工管理力である。特殊工事の施工も技術力と言えそうだが、実作業は下請が担当するから元請の担当は施工管理なのである。
 現場の担当者は施工管理をする時に、安全管理には「安全日誌」を書き、品質管理には「試験結果票」を集め、原価管理には「実行予算額以下」を目指し、工程管理には「計画日程を維持」するように施工関係者*に指示する。担当者は管理状態を報告データにまとめ、監督員や上司に提出する。報告データは担当者の評価にも使われるため緊張して作る。担当者が計画時に参照するのは“野帳”などに個人的に残したデータであり、報告データは実態と違うので使わない。
 さて、上記のような施工管理なら管理効果は伴わないであろう。最大の問題点はデータ・サイクルが回らないことである。報告データでも多少の効果を出せるが効果を毎年向上させることは不可能である。緊張感(感情)だけで効率化が進むなら昼夜とも緊張している北朝鮮が世界一の効率を達成することだろう。

2.市場経済と施工管理
 市場経済の掟は「良い物を安く」作ることである。たとえ現在、緊張感によって以前より利益を上げ自己資本を積み増しできたとしてもいずれ市場経済では生き残れない。それは毎年進化をし続ける真の管理には遠く及ばないためである。真の管理は施工関係者がラクになる方法を科学的に追求する仕組みといえ、電子化された数字や文字はパソコンの威力を発揮できる。施工がラクになれば効率が上がりコストダウンになるのは当然である。管理データが揃い共有化が進むと組織全体の検討もできる。このような仕組みはOJTでは到底及ばない。
 市場経済は可能なことは全てやり全力で戦う超競争社会である。このため企業はいずれ真の管理を行わざるを得ない。その意味で先進的企業にとって今は絶好のチャンスなのだ。他社に先駆けて真の管理を導入し効果が出始めるとラク・利益・信用を享受できる。競争相手がこれに気づき、管理システムの導入を図る頃には次の管理レベルへと進化しているであろう。

3.施工管理と日本
 真の管理は実態データで管理サイクルを回すだけだからそれ程困難なことではない。現場担当者が他業界をリードする位に管理を理解できれば理想的である。PM(Project Management)は多くの産業に有効な手法だからである。リストラの実施は真の管理を目指して管理サイクルの軌道乗せから始めることを勧める。おおかたは事業の再構築を唱えながら人員整理だけ行っている。このため少人数になっても業務処理が旧態のままだから生産性も利益率も変わらずリストラの目的が達成できない。日本には高学歴の人材がそろいまた物事を全体から細部を捉える日本的な思考文化*がありプロジェクト管理に向いている。理想を達成する頃には日本は世界を相手にした建設業立国になっているだろう。

*施工関係者:工事に関係する人を「施工関係者」と「工事関係者」に分ける。“施工関係者”は工事の元請・下請・資機材の提供者など工事施工に直接的に関係する人をいう。“工事関係者”は工事施工に直接的に関係しない工事関係者で発注者・監督官庁・地元住民などをいう。
*日本的な思考文化:マスタープランをアバウトに描ける。住所を県名から番地へと表わすなど。

返信する

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.