新規投稿者 高津徹太郎
投稿日 7/28(月) 18:43:18
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ネットワーク工程表の特徴は“左寄せ”なのである。この機能があるから無数にある作業の中のたった一つを1日増減させただけで、全体工期が変わり資源山積の変化を起こすことが分かるのである。この左寄せは旧型バーチャートでは不可能でネットワーク工程表の特徴になっている。左寄せ機能は、全体工期のシミュレーションの他、資源の山積山崩にも利用する。
これからは操作と変化の説明を図や文章で行うことになるが投稿者にとってこれが難しい。もし個人では何とか理解できた場合でも(他の閲覧者のために)あえて質問を送って頂きたい。本講座が掲示板方式なのは、質問への応答などによって不足部分を補いたいがためであるから。
1.全体工期の計算が可能
<14>の図において点線矢線が垂直だけの経路(下記のア)はこの工事の全体工期を決める経路(クリチカルパス:赤い太線)である。斜めの点線矢線を含む他の経路(同イ、ウ)は余裕がある。
ア)、a-b-d-f-i 3+2+5+4+3 =17日間(余裕のない経路)
イ)、a-c-e-h 3+4+3+5 =15日間(2日間の余裕がある経路)
ウ)、a-c-g-i 3+4+4+3 =14日間(3日間の余裕がある経路)
実績データの<13>の図(全体工期=22)と、これを基に左寄せ(ネットワーク工程表の処理)をした<14>の図(全体工期=17)を比べた場合、各作業の所要時間が実績のままでも「5」の工期短縮(約20%)ができる可能性が有ったことが分かる。実際に実績データを基準に計画を組み直すと、建築で20〜30%、土木で10%程度の可能性が確認できる。可能性は有ってもこれを計画として実行しても「工期=17」で施工できないことがある。これを事前にチェックするのが資源の山積・山崩によるシミュレーションである。
2.工期短縮の限界という悪さ加減
<14>の図において、余裕は各作業の「日数」と「順序」がこの図を基にした計算値であることを再確認しておきたい。逆に言うと各作業の設定日数や作業の並べかたを変えると全体工期は変わるという認識が必要なのである。作業順序や作業日数を変更すると全体工期が計算でき、これが限界であることが分かる。この限界という“悪さ加減”が見えると、我々は初めてほかの方法を模索するように動き出せるのである。
工期短縮とは単に契約工期や同業他社とを比較するものではない。自社の実績データを駆使した極めて戦略的な取組ができる。このため工期短縮はドキドキする程エキサイティングでゲーム感覚に溢れている。工期短縮への挑戦は日本人の真骨頂を生かせる取組である。真の工期短縮手法を駆使できる企業が巨大化する新市場経済の中で生き残れることになるであろう。施工方法は時代と共に変わるため、工期短縮への挑戦は際限が無いと言うことができる。また、これを支えるのは“自社の実績データ”であることも再確認しておくべきだ。だからと言って当面、高度な理論が必要ではなく、ほとんど一次方程式の組合せと日本人的な思考回路の“カンぴゅーた”が有れば対応できるのである。これは大変愉快な話と思う。
現状で工期短縮の可能性が10%〜30%有ると言うことは、工事担当技術者の生産性がそれだけ上昇することでもある。しかも、カンぴゅーたに磨きが掛かると施工しやすい環境を生み出し、担当技術者にとって快適な環境が出現するように作用するのである。
投稿者:高津徹太郎 http://www.cadpert.com/kino.htm |