新規投稿者 高津徹太郎
投稿日 9/15(月) 18:27:20
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9.施工支援システムの実行ステップ
前に掲載した『<8>実績データの記録(2)のExcel用のデータ入力票』を利用して工程の実績データが集まりつつあると思う。このあたりで一度、標準工程表の作成から利用までを大まかに整理するので参考にして欲しい。なお、以降は「管理」を「支援」と表現することとする。
(1)建設産業のハイテク化
エリアレス化の波によって日本のローテク産業は発展途上国へ移り、この分野の失業率を押し上げている。国内に残るローテク産業は農業と建設業になった。地域密着型産業が最後に残ったことになるが、ここにもエリアレス化の波は「WTO」や「自由競争入札」と言う形で押し寄せている。ローテク産業がとるべき途は業務のハイテク化である。これを実現することがエリアレス化を迎えた先進国の中でローテク産業が生き残るたった一つの方法と言える。
建設業界のハイテク化を目指したものが「施工支援システム」である。これは未踏の分野であり、過去の延長にはなかった思想であることに注意すべきである。建設業のハイテク化が日本の得意分野に育つ可能性は大きい。
(2)標準工程表が不可欠な理由
@自己責任の姿勢
市場経済下では「良いものを安く」作る必要がある。原価削減の筆頭に“下請との価格交渉”を上げる元請がいる。これが売り物なら会社案内に”我が社の技術は値切り”と書くことになるがどうだろう。値切りは他力本願的であり、会社の技術にはならず、会社の延命には役立たない。このことは、多くのゼネコンが教えてくれている。
元請の技術力は施工支援力である。つまり技術力のある元請の支援下で作業をすると下請の作業が効率的になり、予定日程で・良い物を・安く・安全に作れるのである。この結果、下請が儲かって安い見積に結び付くのである。このことは現在でも、工夫して儲けさせてくれる現場代人には安い見積が出ることで証明済みである。
A施工支援システムの土台
施工支援を検討すると「原価は時間に比例する。品質は工程で作り込め。安全点は工程毎に類似する」ことが理解できる。このため施工支援の土台を工程表に据えると他の支援データが効率的に利用できるシステムが構築できる。
施工支援システムの軌道載せ順序は、まず工程支援システムの軌道載せに取り組むべきである。工程支援システムによって3Mの少ない計画が作れると、狂いの少ない工程計画が作れる。余り狂わない計画工程表が作れると品質・安全などの支援データを統合化した時にその優位性が生かせるのである。
B「標準化できない」では済まない
コスト削減を目指すための施工支援システムではあるが運用にはコストが掛かる。システム運用のコストを抑えるには効率化が必要であり、効率化には標準化が不可欠なのである。施工支援システムの土台は工程支援システムであるから工程表の標準化が不可欠になる。もし、工程表の標準化ができないなら計画工程表作りに時間が掛かる。時間が掛かっては狂いの少ない工程表を作ることはできず、結果的に施工支援システムが機能しないことになる。
なお、工程表の標準化を目指そうと言うと「できない説明」を始める人がいるが、良く聞くと“標準工程表”を誤解している場合が多い。次を参考とされたい。 |