新規投稿者 高津徹太郎
投稿日 9/29(月) 16:45:17
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(4)初めて作る標準工程表
@社運を賭けて可能性を追求
日本では今まで真の競争の機会が少なく、完工高・社員数・社歴・社屋の大きさ・知名度などという不明確なモノサシであったが成果を上げることができた。しかし、その理由は右肩上がり経済での成功と見るべきである。その頃、建設業は受注産業のため“受注こそ経営”の感が強くこのモノサシを武器とする人脈営業に力を置いてきた。しかし、エリアレス化によって迎えた市場経済下では人脈営業からフェアな競争へと移り従来のモノサシが合わなくなった。市場経済では市場の要求に応じて経営資源を集中し追求する。しかし成果が出なければ大企業も市場から追放される。市場経済では“経営は可能性の追求”が合い言葉である。可能性は自己責任において決断し社運を賭けて昼夜もがき続けるため“プロジェクトX”の感動に結び付くのである。
A認識は体験によって深まる
新しいシステムの導入には関係者の共通認識が必要である。しかし“新しい”ために経験者がおらず共通認識は想像以上に困難である。これはISOの導入を名刺印刷型の“建前”で取組むと問題が起こると『工程管理革命の実践』で警告したが理解されなかったことでも分かる。新システムの十分な認識には体験すること以外に無いと見るべきであろう。
1),新システムの検討を行い可能性を感じる。
2),トップが新システムの導入を宣誓する。
3),簡単なことを実施して体験し共通認識する。
4),これを独自の方法で磨き上げ“自社の売り物”にする。
建設業が近年行ったISO認証取得では、1),は外部に頼り、2),でキックオフし、3),の体験によって実体の認識ができた。その結果、ISOを“建前”で導入した過ちに気付いたろうが、4),の方法は全く見つけられない。それは最初に自らの頭で感じていないからだ。人は分かることしか分からない。“建前の悪さ”と“体験の明解さ”を忘れてはならない。
トヨタはカンバン方式を改善してTPSを生み出し世界的な生産システムに高めた。実体を把握し改善を続けることが重要である。金で売買しただけのISOでは改善ができないのである。
B新規工程支援システムを認識するには
新規の工程支援システムを認識するために次の要領で共通体験する。
1),小型で施工機会の多い類似物件を選定し実情データを収集(科学的に現状認識)する。
2),実情データを使い類似新規工事用の工程計画を作る。
3),この計画で施工する過程において“新しい支援システムの機能と効果”が認識できる。
この種の工事は、a)、データ数が少量。b)、不慣れでもパソコン記録が可能。c)、サイクルの始終体験が早い。d)、データ補完が容易。e)、システムの進化を観察しやすいなどの利点がある。
C標準工程表の誕生
工程支援システムに於ける最小データは作業量・資源数・順序である。現場の実情データをバーチャートで書き、作業量と投入資源数を対にして記録する。これを竣工まで続けると詳細な実情データが旧型バーチャートで残る。これを基に順序付け(点線矢線で結ぶ)を行うと、新型バーチャートができる(詳細は<7>〜<14>「実績データの記録」参照)。これをネットワーク工程表に編集する。これがデータ収集工事に類似する工事の“第1号の標準工程表”になる。 |