新規投稿者 高津徹太郎
投稿日 11/17(月) 12:16:07
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10.新規システムの導入ポイント
(1)新規システムは現場に導入しにくい
新規システムを導入する時は当然のことだが社内に経験者はいない。にもかかわらず、日本の企業文化には“失敗して会社に迷惑を掛けてはダメ”という不文律がある。これが俗に言う“減点主義”である。このため、社員は“全知全能の神様”的な対応を求められる。神様ではないため、失敗を避けるために前例に従うことになる。特に(職人気質で他人からの批判を極端に嫌う)現場サイドにこの意識が強い。このため現場サイドは新規システム導入を経験したことがなく、やっても(ISOのように旨くやったという書類作り中心の)建前で済まそうとする傾向が強い。つまり、形だけを整える対応を行うのである。こうすると、失敗は表に出にくくなる。多分、現場サイドの新規導入と言えば、事務部門や重機部門が提案したハード関係の導入しか経験が無いであろう。ISOの場合、“どうすれば認証を受けられるか?”は指導を受けたが“システムをどのように役立てるか?”とうい研究をしていたら、企業経営に役立ったことを反省すべきであろう。
従来型の企業文化や社員意識は頑固で動かし難い。しかし、エリアレス化による競争の激化が建設業界にも及ぶために、生産性向上の取り組みは避けることができない。そのため他業界での取り組みなども参考としながら建設業界に合わせた新規システムの導入ポイントを把握することは優位に作用するであろう。
(2)プロジェクト・チームが取り組む
新規システムについて情報システム部の担当者と話をすると、すぐ理解していただけた。が、導入方法について苦慮していたようである。大抵は“うまく言っている企業例を教えてくれ”といわれた。つまり、二番手思考である。しかし、今やそれは許されず、自己責任において取り組むべきなのである。
新規システムは、共通認識を持つことが難しいためにその導入となると困難を極める。導入を上手にするには、まず選抜隊としてのプロジェクト・チームを作り、チームのメンバーとうい小集団画が体験することによって共通認識を持つ取組みが最も近道であろう。その理由をまとめてみると次のようになる。
a)“新しい物事への挑戦”は、使命感を持った意欲な人材が担当して初めて実現できる。
b)建設技術は経験工学と言われOJTを中心手法として受け継がれてきた。これが未経験の組織的なシステム導入によって成果を上げることに挑戦することは余程の変人(?)でないとできないと見るべきである。
c)新規システムの導入は社運が掛かるほど重要な取り組みであり、経営的決断で取り組む必要がある。このとき、前例主義の人に意見を求めたり、多数に意見を求めて決定したりすることを行ってはいけない。
d)メンバーにはトラブル対応、情報収集、試行錯誤、科学的なまとめなどの対応が求められる。
e)これらに応え前向きに挑戦できる人材は、少数ではあるが集団の中に必ず存在するものである。
f)実施段階では想像以上に時間が掛かるため体力的な配慮も行うべきである。
g)新規システムを選抜メンバーが認識すると、短時間で組織全体が認識できる。それは、メンバーが新規システムの利用方法、利用効果、使うためのコツなどを伝える通訳の役割を果たすためである。 |