<35>新規システムの導入ポイント(5)‥‥‥工事関係者用の説明データ、財務処理用の経理データ
新規投稿者 高津徹太郎  投稿日 12/15(月) 16:26:18  返信も含め全削除
(9)工事関係者*1用の説明データ
 説明データとは工事関係者に対する説明書類作成用のデータをいう。まず、説明データと言っても元は管理データと“同じ内容”であることを注意すべきである。従来は説明書類を作る時に多少鉛筆をなめる(実情と違うことを書く)場合があったが、この行為は企業存続に関して甚大な影響を与えることを忘れてはならない。
 もし、「管理データ」を使って「説明書類」を自動作成できるなら担当者の業務は合理化され生産性は飛躍的に高まる。大雑把に言えば、説明書類作成に20%の時間を掛けていたものを自動化すると生産性は20%向上する。このことは給料を20%アップしても利益は変わらないことを意味する。つまり、書類作成の効率化と給料とは密接な関係があるのである。事務処理業務の最大効率化は省くことであり、二番目は書類作成を自動化することである。
 何も考えず“この用紙に書けと言われるから書く”だけなら、給料が安いとか将来が不安だなどと言うべきではない。自ずから何もしないから最悪の状態になるだけの話なのだから。また、管理者が“前例様式で書け”というだけなら注意が必要である。管理者は“何故書くか?”を説得すべきであり、また、大型書類からただ1つの項目に至るまで省くことや自動化を四六時中追求するべきである。これらは建設業以外では管理者の当然の業務なのである。

(10)財務処理用の経理データ
 企業会計は財務会計と管理会計に分かれる。ここでいう経理データとは現場で発生する財務会計用のデータを言う。
 建設業の場合、工事原価は売上高の8〜9割を占める。このため建設企業内の情報は量的に見て施工現場に関する情報がほとんどと言える。以前は受注配分に人が関わっていたので受注情報のウェイトが高かったが市場経済では原価情報のウェイトが高まるため、特に官庁工事では人的受注情報のウェイトは下がり続けて来年度は一挙に「0」に近づく様相である。
 建設会社の企業活動は工事原価に集約されるため建設企業の最新情報は現場サイドで生まれるといえる。また企業内最新情報の処理如何が企業の盛衰に直接関わると認識すべきである。企業内最新情報は受注・雇用・資金繰り・経営方針などに至るまで影響することを認識して社内情報システムを構築しなければならない。これを考えずに社内情報のシステム化を図っても情報化社会では競争力にならない。コンビニ業界の場合、POS(販売時点情報管理)を導入することは当然であり、これ以上のシステム無しには参入できないとみるべきである。建物や商品の品揃えを真似ても同様な利益は上げられない。利益の差は外見ではなくPOSデータをいかなる情報にまとめ上げて企業活動に活かすかで決まるのである。
 原価データといっても管理会計と財務会計とでは必要項目に差が生じる。簡単に言うと「原価*2=材料費+加工費」において第一義的には、財務会計では発生した原価の素早い把握が、管理会計では発生した加工費数量データを素早く把握することがポイントと見るべきである。
 現場サイドで記録する資源に関する数量データを経理担当・営業担当・管理者・経営者が随時閲覧するシステムを構築して利用することになるだろう。この上からも新規システムの導入は避けられない理由であることを理解すべきである。

*1“工事関係者”は「<2>施工管理が決め手」脚注参照
*2“原価”はHP表紙の【建設産業研究部会】「1.工事原価の本質」参照

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