新規投稿者 高津徹太郎
投稿日 12/29(月) 17:41:24
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(14)ゾッとする話
耳を覆いたくなるような実話を紹介しよう。ある会社の現場代人は工事毎に利益を出すべきだという建前に縛られている。しかし、昨今は十分な予算額の確保が難しくなってきた。この現場代人はA工事で赤字が見込まれるとB工事に請求の一部を付け替えるよう下請と交渉する。だがB工事でこの約束を果たせない場合が起きて施工業者から連日の請求を受けるハメになる。彼は今、現場の施工管理よりも下請と支払打合せに費やす時間が長いという。こんな付け替え操作をしても利益は何ら変わらずただコストアップになるだけである。この行為は単に見栄えの良い書類を要求する経営者や管理者が招いた失態といえる。“給料分の利益を稼げ”という建前を社員に押しつけても経営者や管理者の職責は果たせていない。経営は普通の社員が普通の努力で“利益が出る仕組み”を作り上げることである。利益が出る仕組みを持っていれば“技術力のある会社”と呼べるがこれが無ければ家内工業的な“頑張る技能者集団”に過ぎないのである。
(15)地獄の疑似体験
建設会社はこのまま支援システム(時間軸で生産性を向上する仕組み)による原価削減の手を打たず、ただ「大変だ」とだけ唱えているなら地獄へ直行する。仮に蓄えによって何年か生き残っても更にその先は決して生き残れない。
地獄を疑似体験してみよう。建設業に多いオーナー経営者は地位と名誉と共に出資金・担保財産などを失う。全てを失えばもう二度と出資者や経営者とはなれない。唯一、雇われ経営者は年金生活が待っているから気楽であろう。管理職は地位と名誉と退職金を失い再就職先は命令服従を生かした肉体労働であり、収入は高卒初任給程度で以降は何年経っても変わらない。この時、我が人生はこれまでと悟るだろう。現場担当者も50代以降は同様である。40代以前の現場担当者は外資系の建設会社に再就職し、そこで支援システムを学ぶことになる。しかし、新ボスは給料を半分にした上で工事のない時は簡単にレイオフを断行し温情はない。
まもなく、地獄へ向かうエスカレータから降りないと各人各様の悲惨な家庭生活が待っている。
(16)管理職は改革のキーマン
改革に取り組むと従来型の会社と必ず差が付き銀行支援の砦になる。今からでも取り組むべきである。
管理職は本来、トラブル防止とより早く処理する支援システムの構築が任務である。競争に勝つには速い処理によるコストダウンしかない。しかし管理者の多くは右肩上がり経済による組織の肥大化が起こりしかたなく管理職の席へ据えられた感(筆者告白)が強い。管理者は部内統率のため前例や建前を使い背中を叩き「和」を保ってきた。これは改革すべき管理職が前例と権力で改革を阻止する構図になってしまう。事実、「あ、抵抗勢力は俺だった」と打ち明けた管理者がいた。支援システム導入の仕掛人は管理職である。
元請建設会社は本来、自社は直接施工をせずに施工管理だけで利益を稼ぎ出すという知識集約型産業なのである。だから下請に向けた“支援情報の提供”に存在意義があり、その情報提供の質で元請の優劣が決するのである。極端に言うと強力な施工支援システムを構築した企業が世界を席巻することさえ可能なのである。
インフラ整備が急務なアフガニスタンからはTVで国境無き医師団が用水路工事を指揮していると伝えている。そろそろ建設会社の市場は世界であり、企業の繁栄・凋落のキーマンは管理職であることを悟るべきである。
良いお年を! 当講座担当:高津徹太郎 http://www.cadpert.com/kino.htm |