新規投稿者 三木 伸哉
投稿日 04/10/31(日) 06:14:40
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ああ留守中の日本はそんな国になってしまったのか、それでは人に土産にやるわけにも行かない。まだ二本の蒙古刀は私の部屋の隅に追いやられたままである。
日が落ちて2時間ほどたった頃、急に寒気が襲ってきた。セーターを着込んで夜空を眺めた。降るような満天の星空、俗に言う宝石箱をひっくり返した星空、日本では想像もつかない鮮やかな星空である。
日本でも、大連でもこのような夜空を見ることはできない。少年の頃、夜空を眺めて、数々の星座を教えてもらった記憶がよみがえってきた。
同行のうら若き日本語女性教師も「あれが北斗星、あれがカシオペア・・・」と叫んでいる。なにかメルヘンの世界に引き込まれそうな感じがしてきた。
近くの広場で国慶節を祝うのか、ステージを作り、椅子席もかなり用意している。
早速その席に何人かで座っていると、「そこは中国人席ではない。外国人が今来るか
ら、どいてくれ」という。なんと言うことを言うのだろう、そこは中国人の席ではないと、我々はれっきとした日本人なのに。
中国に住んで1年以上の才月が流れ、正真正銘の中国人になってしまったのか。今まで何十回となく中国人に間違われたことか。先日もバス停に大勢並んでいるところに、わざわざ私を選んで道を聞きにきた中国人がいた。人相風体がいかにも親切そうに見えたからか、変な発音の中国語さえ発しなかったらもう完璧な中国人になっている昨今である。
「外国人というと、どこの国の人が来るのですか。私も一応外国人の日本人です
が」とたどたどしい中国語を発すると、「日本人は予定に入ってません。今ロシア人
とアメリカ人がきます」とのことであった。
こんな片田舎の内蒙古の小さな村に、少なくとも四カ国の人間が集まって。国慶節前夜のステージを楽しんだ。気さくで磊落なモンゴル人の輪の中に、立ちんぼうのまま一時間ほどの時を過ごした。震え上がるような寒気の中で。
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