新規投稿者 三木 伸哉
投稿日 06/10/24(火) 09:24:20
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神尾初年兵の(松山ケンイチ、後の仲代達也)の六〇年間の苦悩
彼はこの戦艦大和の初年兵のなかで、上官のしごきの第1号であった。明らかに仲間の初年兵をかばって「私がやりました」と灯火管制のとき、扉を締め忘れたことを申し出るのだが、冒頭からこの少年の言動が生き生きと描かれた。
父はすでに亡く、母ひとり、兄も戦争にとられ、幼なじみの妙子という子の好きな子がいた。
西君という三反百姓の母が、一人で段々畑を耕作している親友もいる。西少年は支給される僅かな給料をためては、貧しい母に送金していた。
下船して呉市の実家に戻ったとき、絵画に非凡な才能を持つ西君が、妙子の自画像を描いてやる。彼女はその自画像を広島の原爆で最期を迎えるまで肌身離さず持っていた。
いよいよ沖縄に向かうことが決定し、これが最後の帰京になるかもしれないという思いをいだき、神尾少年は自宅に戻る。
迎える恋人の妙子(まだ一六歳くらいの少女であるが)は号泣して神尾を迎える。「おばさんが私のせいで死んでしもうた。私をかばって私の身体にかぶさり、その上に機上からの銃撃だったんです」自宅には母の遺影、兄の遺影も並び、神尾少年は天涯孤独の身の上となる。
妙子は神尾に「私いつまでもまっちょるけんね。これ厳島神社のお守り」と渡されて、ふたたび大和の甲板に戻っていく。
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