「日本の旅と歴史の背景」モヨロ貝塚2−1
新規投稿者 三木 伸哉  投稿日 08/4/15(火) 10:29:35  返信も含め全削除
イヨマンテの夜
伊藤久夫のこの歌は、私の弟が朗々たる声で歌ってくれる。もう年であるが好い声で音程もしっかりしている。歌手になればよかったのに。
このイオマンテ(熊まつり)を見る機会があった。中学校の2年であったろうか、網走の市街地で夜の帳が降りた頃、一頭の幼い熊が天に召されようとしていた。
「かわいそーに」まずこの気持ちが、脳天を打った。どうしてあのような幼い熊なのだ、人畜に被害を与えたような大きな熊でないのだ、と思いながらその厳粛な儀式を最後まで見ていた、やがてアイヌの人たちに射られた矢で、小熊は動かなくなった。

後日イヨマンテとはどういう儀式であるか調べてみた。i-omante(アイヌ語で物を送る)の意味、アイヌ人によれば、万物はみな神(カムイ)であり、神々は天上に住んでいる。人間界に姿を現すのは,仮装してやってくると信じられている。
山の神は熊、沖の神はシャチやイルカ、集落の神はフクロウなどとアイヌの人たちは信じていた。このようにカムイ(神)が姿を変えて、肉や毛皮をアイヌに与るという。神に感謝して肉を食べ、食べ残しなどは粗末にしないでお土産として神に送り返す。万物に宿っている魂、霊とかそれを天上界に送り返す。これがアイヌの神への儀式といわれている。
 春まだ浅いころ、母熊が冬眠中に小熊を出産する。その母熊を射止め、小熊を持ち帰り、我が子同様に2才くらいまで育て、それをイオマンテの儀式につかい天に送り返すと言われている。わが子同様に育てた小熊を。
イオマンテの儀式はもうなくなったのであろう。この半世紀くらいそのニュースも聞かない。伊藤久夫の声はまだ耳朶に残っているが、この歌を知っている人もこの世に何パーセントになったであろうか。 

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