新規投稿者 三木 伸哉
投稿日 08/5/30(金) 06:28:25
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樋口一葉のはかない生涯
日本の紙幣に華々しく登場した女性。いままでの紙幣に登場したのは男性ばかり、みな裕福そうな福々しい男性である。しかし樋口一葉は極貧の果てに、短い生涯を終えた女性である。樋口一葉は並外れた天才女流作家であった。
しかし明治の初期の文体は、現代人にとってなじみが薄く、人口の膾炙されることも少ないのではあるまいか。今読んでも、私は浅学のためすらすらと頭に入ってくることは出来ない。
一葉の住んでいた菊坂は坂の多い街である。二人の人がやっとすれ違う事が出来るような小路、まだ使っていると思われるポンプ、軒先におかれている植木鉢のなんと多い菊坂、この土地で、天才女性樋口一葉は生まれ、極貧のうちに、二四才八ヶ月の短い生涯を終える。
中国派遣同期の四人は、この菊坂のアップダウンの小径を夕日を浴びながら逍遙した。
「これがよく一葉が出入りしていた伊せ屋の質屋でね。門構えは明治の頃のままのようだ」とKさん。黒光りの門構えが往時の質屋の格式の高さを誇っている。
当時の一葉の日記に下記のような記述が見える。
「此の夜さらに伊せ屋がもとに、はしりてあづけ置きたるを出し、ふたたび売りにださんとするなど、いとあわただし」
「時はまさに初夏なり,衣がえもなさではかなわず、ゆかたなど大方、伊せ屋が蔵にあり」(明治二八年五月一八日の日記から)
極貧の果てに着物を質に出し入れしている文章が書かれている。
鶉鳴く声も聞こえて花すすき まねく野末の夕べさみしも (一葉)
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