新規投稿者 三木
投稿日 08/8/31(日) 06:44:09
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日本の旅とその歴史の背景 20(軽井沢あさま山荘2)
坂口 弘の獄中生活の詠草から
獄の春手紙を書けば手袋を 脱ぎしわが手のみずみずしさよ
独房は3畳間、むき出しのコンクリート壁と鉄の扉、暖房施設一切無い、衣類の洗濯は真冬でも水のみ、かじかんだ手を温めるのは手をこすり合わせるしかない。手袋をはいて数時間かけて手紙を書いていたという。
T君の死を知らぬ父上の呼びかけを 籠城のわれら俯きて聞く
同じ仲間であったT君、彼は我々に総括されて命を落とし、もうこの世には居ない。その事実も知らないT君の父親は懸命に投降をよびかけているのである。その声を聞きながら、粛然と俯いている姿が見える。
「出て行って私を盾にしてでも」と 人質婦人に叫ばれており
この詠草のまえに「ドア破り銃突き出して押し入れば 美貌の婦人呆然と居る」いう一首がある、極限状態にある管理人の婦人の、やりきれない想いが惻々と伝わってくる。
独り言止みて気づきぬ逆海老に 緊縛されし友も逝きたり
榛名山ベースのなかの「総括」で、仲間を粛清した場面、逆海老に縛り上げていた仲間もいつの間にか独り言も途絶えた。周囲に漆黒の闇が迫る。
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