新規投稿者 三木伸哉
投稿日 10/12/22(水) 08:54:42
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旅順からの「坂の上の雲」23
ハルピン駅の伊藤博文暗殺の現場にて
「旧満州鉄道の旅」の折、長春駅のプラットホームを、150メートルほど走らされた。到着する列車番号が違っていたためであった。もともと心臓の調子が悪く、重たいリックをせおっての疾走は無理になっていた。
そんな苦労をしながらハルピン駅に到着。出迎えたハルピンのガイド役の男性が、流ちょうな日本語で自己紹介をしてから、「いまから伊藤博文の暗殺現場に案内します。よろしいでしょうか」という。宜しいもよろしくないもガイドに従うのが日本人旅行者の美徳、おとなしく彼の後を追った。
「みなさん、ここが伊藤博文の暗殺現場です」とハルピン駅の一隅、新装成ったタイル張りの一隅に案内された。暗殺現場というから、100年前の現場がそのまま残されていて、特に日本人と韓国人に紹介するのがガイドの役割かと思った。「なんだろうー、この案内は、」と一瞬訝しく思った。
「日本人の皆さん、日本の初代の総理大臣であり、初代の韓国総督府の統監であった伊藤博文が、ここで凶弾に倒れたのです」と朗々たる日本語で説明がつづいた。つまりこのガイドは、何の変哲もないプラットホームにわれわれ日本人観光客を案内して、「この歴史的事実を忘れないでください」と、言いたかったのであろう。彼はバスの車中、バリトンのよく利いた声で、「北国の春」や「蘇州夜曲」を唄ってくれた。実に上手かった。しかしかつての日本人が満州で何をしたのかも忘れないでほしいという思いを言外に表し、日本人の軍隊が押し寄せて来た避難場所の小学校などにも連れて行った。中国人として無言の訴え、
「日本人よ、この事実を忘れないでほしい」という願いであったのであろう。
暗殺者「安重根」は朝鮮人の英雄として記念の銅像も建つ
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