回想中国 7 すわ!靴磨きと その1
新規投稿者 三木伸哉  投稿日 11/4/1(金) 06:14:24  返信も含め全削除
回想中国 7 すわ!靴磨きと その1   
大連駅前には大勢の靴磨きの中国人が並んでいる。もともと汚い靴をつきだして靴を磨かせるような尊大な態度は、あまり好きではないけれども、この日ばかりはどうしても磨かなければならなかった。
いちおう値段を確かめた。「多少銭(いくらですか)?」「二元(三〇円くらい)」
なにやら口早にもの申している。何を喋っているのか皆目見当つかない。
「ハハーーン、この親父、日本人だな、ふっかけてやれ」とでも言ってるのであろうか。10分ほどで磨き終わった。
ピッカピッカである。あの泥靴が、かくも見事に変身させてくれた靴磨きのおじさんに感謝して、2元を取りだして支払った。

するとどうであろう。「磨き賃は100元(約1500円)だ」という。
「冗談じゃない、さっき2元と言ったじゃないか」と当然談判に及んだ。
「いや100元だ」と突っぱねている。
この靴は、安い日本語の教師の給料(当時は1500元)のなかから、大枚120元を奮発して大連で購入した逸品。120元の靴に100元の靴磨き料金とは一体全体なんたることであろう。
 すぐ公安をよんで調停をして貰おうと思い、「公安、公安」と連呼した。誰も来やしない。そのうちに何かあったのかと4,5人の見物客がやってきた。


返信 1 三木伸哉  投稿日 11/4/1(金) 06:15:06  削除
見損なって貰っては困る。こちとらは日中友好、(中国では中日友好)を掲げ、定年後3年経て、はるばる中国に渡って、孤独な生活、不便な生活に耐えながら学生に日本語を教えている、まっとうな日本人だ。
ああそれなのに、1500円の靴磨き料金とはなんたることであろう。
仕方がないから、同業者の靴磨きのおじさん方に、靴磨き賃はいくらか聞いて歩いた。私の顔とおかしな中国語の発音を聞いて日本人と分かったのであろう。
それぞれ「100元」とか「80元」とか「70元」とか、同業者の連帯感を示しだした。中国人はあまり連帯感のない民族であるが、この時ばかりは奇妙な連帯感をみせている。鉄の団結である。
 ああ、この状態では高い料金を支払ってこの場を収めるしか方法はないであろう。観念して一番安い料金を提示した70元で交渉した。
「あそこの同僚のおじさんが、70元と言ったから、70元しか払わない」といって手を打った。

どうしてこのようなことになるのであろう。帰宅して隣の日本語教師のT先生に、聞いてみた。
「いやまだ70元ならいいのではないですか。ボクはインドではひどい目に遭いましたよ。まさに法外な値段をふっかけられて、とうとう払いましたよ。
日本人は世界中で一番の金持ちと言うことが知れ渡っているから、金持ちから金を取るのは、別に罪悪だとも思っていないのですよ」と達観した表情でのたまう。
ああそういうものだろうか。しかし今度こそ安く磨いて貰おうと決意した。

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