新規投稿者 三木伸哉
投稿日 11/6/30(木) 05:09:28
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回想中国 27 大連監獄の周辺を散策
中国監獄事情
この大連監獄の隣にある大学が、幹部管理大学という、その名もいかめしい名前の大学であった。豪壮なマンションから追われるようにして、大連の中心部からおよそ15キロにある工業地帯、その中の大学に赴任した。工業地帯であるから噴煙がたなびく、どこからともなく間断なく物音が聞こえる。
ある夕方のことであった。授業も終えた夕暮れ時、一人で大学の隣にある大連監獄の周辺を探索してみた。
日本では監獄という言葉は、現在使われていない。すべて明治時代に制定された監獄法は、刑務所の名に置き換えられて運営されている。
吉村昭の「破獄」(映画では緒方拳の脱獄囚と津川雅彦の看守長の好演)をよみ、NHKアーカイブスで見たばかりであった。刑務所にも体験入学したことがあるので、施設の内情はそれなりに理解はしている。
黄昏も迫ってきた。望楼が見えた。銃剣を肩にしている見張りが周囲をうかがっている。
「なんだこの男は、何のために来たのか胡散臭い男だ」という表情で私を一瞥した。何食わぬ顔で塀の下を歩き始めた。まさかズドンと一発くらわすこともあるまい。臍下丹田に力を込めてあるきはじめた。500メートルくらいの幅で望楼がたっている。内部の様子は伺うこともできない。夜霧がおしよせてきたので監獄の外に出た。
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