ふたたび「人間の条件」を見て 1
新規投稿者 三木伸哉  投稿日 12/1/12(木) 09:28:10  返信も含め全削除
ふたたび「人間の条件」を見て 1
先日BSで6回にわたる「人間の条件」の映画をみた。第66回の終戦記念の8月15日から6回の内容であった。仲代達也扮する梶、新珠三千代扮する愛妻の美千子の夫婦愛を軸に、「純情編」「怒涛編」「望郷編」「戦雲編」「死の脱出」そして満州のかなたに、小さな丘となって梶の躯を埋め、あとは深々と雪降り積む「荒野の彷徨」である。
戦時下の軍隊の不条理きわまりない様子は、過酷な映像となって再現されていた。
往年の日本映画の俳優の錚々たる顔ぶれであったことも懐かしく思い出された。

仲代達也がこの映画で起用されたのは27歳の時であったという。画面では40歳くらいの風貌になっていたこともあった。
私の実弟が仲代達也にあっている。撮影現場の片隅に座っていたが、全身からオーラーが光るような存在、30歳前でも素晴らしい役者魂!の持ち主であったと語っていた。北海道の十勝鹿追の原野で撮影されたと言う。まさに男一匹荒野を行くという風貌、向かうところ敵なしの男であったが、陸軍の内務班によくいじめられていた映像が忘れがたい。

返信 1 三木伸哉  投稿日 12/1/12(木) 09:28:54  削除
仲代がこの映画の出演に誘ったのが田中邦衛と佐藤 慶といわれている。田中邦衛は、戦地にあってもどうにもならない甲斐性なし、古参兵にこづかれ、笑いものにされて、日本の嫁と姑の確執に苦しむ。とうとう堪え切れなくなって便所で自死を遂げる。奥さんが日本から駆け付けて、自死の原因を突き止めようとするが、当然のことながら、いじめられて自死したとは、わからずじまいで帰国していく。

佐藤 慶は、新城という名前の兵隊になっていたが、こんな兵隊いじめの内務班にホトホト嫌気がさしていた。この北満の向こうには自由の大地があるのだ。人間を人間として扱ってくれる素晴らしい国があるという幻想を抱き続ける。ソ連という国が、当時どのような国であったか、戦場ではわかりはしない。
ソ連にかぶれている様子が言外にも表現されていて、古参兵にも「アカさんよ、アカの新城さんよ」と呼ばれていた。

北満から逃亡していった日本兵が、どのくらいいたのかわからない。いずれにしても60万人ともいわれるシベリア抑留の兵士になってしまったのであろう。小林よしのりに言わせれば「ソ連抑留者100万人、死者40万人」と書かれているが、そんなに多い数ではない。抑留された人数がどのくらいになるのか、いろいろな資料を調べても詳細は不明。おそらく60万人の抑留、そのうち10万人が死亡したというとこが、ほぼ実態に近い数字であろう。
古参兵での名演技は何と言っても、南 道郎であろう。今その消息は不明だが、憎々しげな面構え、古参兵としての本分を骨の髄までしみこんだ言動、内務班の最優秀演技者であった。中村玉緒が可愛い少女として出てきていた。

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