ふたたび「人間の条件」を見て 7の1
新規投稿者 三木伸哉  投稿日 12/2/15(水) 07:39:18  返信も含め全削除
ふたたび「人間の条件」を見て 7
五味川純平は第2巻までを編集部に持参した。週刊朝日の10Pもの宣伝が全国津々浦々までにひびきわたり、売れるに売れた。私も週刊朝日の批評を見て購入したのであった。編集部はその続編を、3巻から6巻までを書くように作者にお願いして、五味川は書きに書きまくった。それが当時は1300万部の売り上げと言われていたが。いまでに2000万部{1979年現在}を越していているといわれている・
圧巻は第6巻の「荒野の彷徨」であろう。映画では高峰秀子扮する女性の言葉、「あなたはずいぶんお堅い兵隊さんね、ロシアの兵隊さんは、時々やってくるけれど、パンを恵んでくれたり、優しくしてくれるんだよ」というセリフ、そして傍らの日本人女性のことば、「ロシアの兵隊はタダ食いタダ乗りはしていかないよ、ときどき黒パンなど恵んでくれるのさ」
というセリフを語らせる。明らかにロシアびいきのセリフであるが、これは作者五味川の小説にあった内容か、小林監督が言わせたのか定かではないが、明らかに社会主義へのあこがれが感じられる。グーグルなどで検索すると、極左の作家「五味川純平」と監督「小林正樹」と出てくることが多い。おそらくまともな近代日本史を中学校でも高校でも学習していないから、若者は当時の軍隊が、どのように非人間的な行いをしたのか知らないのであろう。悲しむべき歴史教育であると、感じることが多い。

返信 1 三木伸哉  投稿日 12/2/15(水) 07:40:09  削除
そして古参兵の桐野という兵隊(映画では金子信夫)がロシア側の人間になりきり、日本兵を虐げることに、快感を感じているようなこの桐野に、梶は我慢ができない日々を過ごす。そして弟のようにかわいがっていた兵士(川津 祐介)が桐野に殺されたことを知る。それは梶がシベリアの強制労働に追いやられ、息も凍るような酷寒のなか、大きな木材を肩にして運搬するという単純労働から帰ってきた時であった。
自分を兄貴のように慕い、絶対的な信頼を寄せていた弟のような兵士が、古参兵の桐野に殺された。それを知った梶は激怒し、夜中に彼を呼び出した。
「ちょっと話があるから付き合え、」いやだとは断れないであろう。ロシア側の犬になってはいたが、梶ごとき男から逃げるわけにはいかなかったのであろう。兵舎の暗がりに来た時に、その壮絶な梶のリンチが始まった。ポケットに忍ばせていたチエーンを取り出して、やにわに殴りつけたのである。もちろん実写である。俳優さんというのは辛くて悲しい体験をしなければならない。鎖で殴りつけ便槽に叩き込むのであった。
それから中国人から盗んだマントウひとつ手にして、満州の荒野の彷徨が始まる。
「美千子、僕は生きるために何人もの人を殺してきた。それでも君は僕を許してくれるかい、僕は君に向かって歩き続けている。君は僕を待ってくれるかい」盗んだマントウを一口も口にしないままやがて息絶える。その亡骸には深々と雪が降り小山となった。

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