<6>施工者からみた適切な受注制度
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/7/6(日) 20:57:45  返信も含め全削除

1.受注者から見た適正金額
 施主から見た適正金額は、想定した品質の生産物をできるだけ安くということは決まっている。これに対して施工者から見れば、適正な利益を確保できる金額ということになる。しかし建設業界の言い分として、一つとして同じ物は作らない生産物に対して、適正な利益を確保できる金額を推計することは非常に難しい。何故なら生産現場は野外であり、天候の変化による影響は大きいし、施工現場の地形や地質もそれぞれ異質であるし、基礎部分の施工費には大きな差が生じることは当然である。あくまで施工してみなければ分からない部分が存在するのである。このような状況下で施主との契約時に「施工してみなければ分かりません。」と言うことでは契約自体が成立しないのである。そのためできる限り損にならないような契約金額を模索する。そのため契約金額が博打的な要素が入る余地が存在するのである。

2.要請される品質や機能等の認知
 施主は、施工者に対して自分が想定する品質や機能等を主張するが、実際の現物がない状態で品質や機能等の想いを伝えることは難しい。したがって施工者は施主の品質等の思いを完全に認知することは不可能に近い。そこで施主は設計の段階で、設計者に対して品質や機能等に対する想いを伝え、設計者は施主の想いを設計書等に表現する。設計者は、施主の情緒的な想いまでも具現化するプロであるから、施主の想いを十分に汲み取って設計するのであるが、施工が開始してみれば施主との想いとのズレが出てくる。当然のことで、施主と設計者、施工者の想いがそれぞれ相違するからで、施主が要請する品質や機能等が完全に伝わらないのである。そこで施工しながら設計変更や資材の変更等が発生するのである。この変更に要する費用は契約内容によって異なるが、誰かの費用負担になるのであり、これらの問題も受注産業の難問の一つとなっている。

3.価額の合意点を探る
 自然環境の変化の影響を受け、更に要請される品質や機能等を考慮して、施工物の見積書を施主に提示しなければならないが、建設業界が如何に不安材料を抱えながら、見積価額を真剣に作成しているかがうかがえる。したがって、特命による随意契約の場合であっても、発注者が予定している金額が事前に認知できる方が、施主の生産物に対する価値観が認識でき、発注者が予定している金額に合わせて、その価額に満足できる品質と機能等のものを織り込んで見積書を提出すればよいからである。施主がその金額に不満であれば双方の話合いで決めるのが随意契約であり、この方法が注文者の求める品質と機能等に合わせる取引形態となるのであり、これが両者が対等の立場になる双務契約となるのである。このように注文生産は、注文者の思いを具現化するための生産であり、生産する前に過度な競争原理が作用する一般競争入札は、取引形態に無理な因子が入っていることは間違いない。次回以降に無理な要因となっている因子と談合の因果関係を整理する。

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