新規投稿者 阿座上洋吉
投稿日 08/8/3(日) 21:21:11
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1.商慣習の激変時代と世界経済
市場経済は、市場において商取引行為に競争原理が作用する仕組みである。商取引行為には、各種の商慣習が生まれ、業界別の取引慣行や地域別取引慣行、国別取引慣行、人種別取引慣行等、種々の取引慣習がビジネス文化としてそれぞれ継承されてきた。しかし近年のグローバル化現象により、地球規模で各種の商取引慣行に大きな影響を与え、市場経済は世界共通の取引文化として動き出した。これが今日の取引慣行の主流であり、全ての取引文化は市場に任せ、政治は介入しないという仕組みで動き出してきた。グローバル化現象が激しい超競争の環境を作り上げている。競争激化は益々進み、激しい競争原理が終息することはあり得ないであろう。この激しい競争の状況を新市場主義というが、国単位の規制という政治的なコントロールは利かないし、下手に規制すれば世界市場から孤立することになり、かえって国の経済に不利影響を与える結果となる。地球規模のコントロールを期待して開かれるサミットも、世界市場のパワーをコントロールすることができそうもないのである。
2.注文生産と双務契約の難しさ
注文生産システムは、市場の競争原理が適度に作用する状況下では機能するが、競争の激しさが一定限度を越えてしまうと、市場原理のシステムの歪の傷口が開き、傷の痛さに悩まされ不具合が急増する。今日の地球規模の激しい競争原理が作用している市場では、注文生産の市場システムが不具合を起こしている。本来の市場経済の仕組みは、商品生産を前提として発展してきたもので、売買に先行して生産された商品を市場で売買するのであるから、仮に原価割れで売買されても、購入者に損害が及ぶことはあり得ない。また逆に高い価格で購入した場合であっても、現品を十分にチェックして、納得してから購入するのであるから、双方が対等な立場で取引が成立するのであり、法的にも双務契約の環境下で取引が成立するのである。しかるに注文生産の場合は、現品が生産される前に、双方が納得できる交換条件が明確に確立できない状況下で進むため、双方が対等の立場で双務契約をすることの難しさがつきまとうのである。
3.注文生産の市場システム
市場経済の仕組みを商品生産型市場経済の形態と、注文生産型取引形態の二つに分類し、通常の市場経済を商品生産型とし、注文生産の市場システムを別にすべきではなかろうか。少々乱暴な整理の仕方であるが、市場を二分するという意味ではなく、取引形態を整理するために別問題として取り上げるべきである。何故なら民間の注文生産のように、何の制限も受けない状態の自由な市場での取引形態では、施主自ら信頼できる生産者を見つけ出し、品質や機能、使い良さ、品位品格等の思いを主張し、その思いを具現化する可能性の高い業者を探し出し、生産者を確定してから価額の合意点を探ることが一般的である。このような状況下で受注生産の市場が成立しているのであって、品質等のレベルが不明で品格等の感触が掴めない状況下で、激しい競争が作用する超競争市場には馴染まないのである。受注生産の商行為は不具合が多すぎるのである。これは市場経済の仕組みが未熟で不具合を起こすのか、それとも市場経済の欠陥で不具合おきるのか解明する時期に来ているのであろう。
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