<11>注文生産の市場経済システムの模索
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/8/10(日) 22:35:02  返信も含め全削除

1.近年の談合事情
 談合問題が近年ほどマスコミを騒がしたことがないだろう。談合は不正であり法に触れるのであるから、違法行為であり罰せられる。それにもかかわらず談合が後を絶たないのは何故か。近年、談合が増えているよう見えるが、実態は減少しているのである。談合は神代の時代から水面下で続いてきた業界の入札文化である。その談合が減少しているのに、目に触れることが多くなったのは、内部告発が増えたためである。談合は業者間から告発されるもの、発注者内部から告発されるものがあるが、内部告発は建設業界だけの問題ではなく、教員の不公正採用の内部告発や、食肉偽装の内部告発等、内部告発は全ての業界で見られる現象となった。この現象は日本人自身の変化に起因している。日本は一人っ子社会による個人主義化が本格的に進み、個人の主張が強くなり通常の姿となったのである。この傾向は今後も進む現象で、水面下において内緒で行われてきた談合は、内部告発で水面上に現れてしまったのである。この現象は水位が下った結果であり隠す方法がなくなったのである。

2.注文生産の市場経済システムに不具合
 市場経済は、既製品を前提にして進化してきた市場経済システムであるから、注文生産を既製品生産市場経済システムで動かすと、無理や不具合な部分が多く馴染みが悪すぎるのである。既製品生産の市場経済であれば、過度な競争原理が作用しても、市場システムが機能するが、注文生産の市場経済では、競争原理が一定限度までは市場システムが機能するが、限度を越えると急速に不具合を起こし機能不全となる。過度に競争激化すると、低入札現象が起き、意識的手抜き工事等による品質劣化、欠損工事による経営破綻、共倒れによる地域経済への影響等、市場経済そのものを破壊する結果となってしまう。では過度な競争には参加すべきではないという意見もあるが、日本には日本的経営という経営思想が根底にあり、高給取りの技術者を通年雇用しなければならない。この人件費は固定費であり、過度な競争には最も不具合な企業体質となっている。

3.市場経済を生産時系列に分類する試み
 市場経済を生産時に焦点をあわせて時系列に分類すると、第1に、生産完成後に市場で売買される、既製品生産市場経済システムがある。これが通常の市場経済の仕組みとして認識されている。第2は、注文後に生産される方式であり、これを注文生産市場経済システムという。この注文生産市場経済システムは、既製品生産市場経済システムとは、別の経済システムとして認識すべきである。何故なら既製品生産市場経済システムは、過激な競争原理が作用しても機能不全は起こさないが、注文生産市場経済システムは、過激な競争が作用すれば機能不全を起こしてしまうからである。既製品生産市場経済システムに、注文生産市場経済システムをはめ込むと市場経済の欠陥が出てしまうのである。第3は、先物売買市場経済システムがあり、これは市場に投機要素が入り込み不安定要因が更に多くなる。しかし先物売買市場システムは、先の市場価格の見通し等重要な情報であり、市場経済になくてはならないシステムであるから、これを否定することはできない。(三者の詳細は次回に)

返信 ご意見やご質問をどうぞ

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.